歴史的に見ると、ケロコトはコーヒーよりも牧畜が盛んな地域でした。
標高2,300m前後という高地特有の冷涼な気候と、広大な牧草地が牛の飼育に適していたためです。
1990年代になると、この地域の住民たちは季節労働者として、コーヒーの収穫を手伝うためにハエン(Jaén)やサン・イグナシオ(San Ignacio)へ
出稼ぎに行くようになりました。
そして2000年代初頭、彼らはコーヒーの種子を持ち帰り、チョタの高地の土壌で栽培を試みました。
その結果は大成功でした。コーヒーの木は、この新しい環境に見事に適応したのです。
自然と共存する農業
この地域の生産者たちは土地に対して深い敬意を持ち、在来植物とコーヒーが共存する生態系を大切にしながら栽培を行っています。
その象徴的な例が、在来種である**キナの木(Quina)**をコーヒーの木の日陰として利用することです。
キナの木はペルーの国章にも描かれている樹木で、ペルーの歴史において非常に重要な意味を持っています。
その樹皮は、古くから伝統的な飲み物に利用され、その後はマラリア治療に使われるキニーネの主要な原料となりました。
しかし、伐採や外来種の侵入によって、かつてキナの木は絶滅の危機に瀕していました。
現在、**チリバンバ(Chiribamba)**のコミュニティは、この貴重な木々が今も生い茂る数少ない場所の一つです。
キナの木はコーヒーの木に大切な日陰を提供するだけでなく、落ち葉などによって土壌に有機物をもたらしています。
収穫したコーヒーの輸送
この地域では、コーヒーの集荷体制も比較的整っています。
農園から集荷センターまでの距離は、20分程度から最長3時間ほどです。
多くの生産者は、未舗装道路を走る共同利用のトラックでコーヒー豆を運びます。一方、よりアクセスが困難な地域では、ラバなどの家畜を使ってパーチ
メントを運搬しています。
通信手段も重要です。地域住民の約70%は携帯電話の電波を利用できますが、電波の届かない地域の生産者には、集荷スケジュールをラジオ放送や近隣住
民からの伝達によって知らせています。
伝統的な助け合いと精製
この地域でコーヒー栽培が始まったのは比較的新しいことですが、生産者たちは収穫や精製について非常に高度な知識と技術を身につけています。
農作業では、「アイニ(Ayni)」と呼ばれる、古代インカ時代から続く家族や近隣住民同士の相互扶助の習慣が活用されています。
コーヒーの精製工程にも、こうした丁寧な仕事ぶりが表れています。
収穫したコーヒーは、ビニール袋の中で72時間発酵させ、その後、ソーラードライヤーで15~25日間かけて乾燥させます。
未来への取り組み
これほど素晴らしい品質のコーヒーを生産できる地域である一方、ケロコトは、若者たちが教育を受けるため都市部へ移住してしまうという課題にも直面
しています。
私たちRed Foxは、ケロコトはペルーで最も注目すべき新興コーヒー産地の一つだと考えています。
競争力のある価格と安定した長期的なパートナーシップを提供することで、次世代の若者たちが故郷に残り、コーヒー生産を続けていけるような経済的機会を生み出したいと考えています。
私たちのこの地域での活動は、生産者を長期的に支援すること、希少な生態系を守ること、そしてこの土地ならではの特別なペルー産コーヒーを世界に届
けることへの長期的な取り組みです。