ケロコト生まれの75歳、セグンド・クバス・コロネルは、大地とともに人生を歩んできたコーヒー農家です。
幼い頃から農業に携わり、学校教育は小学校まででしたが、勤勉さと代々受け継がれてきた農業の知恵によって自らの道を切り開いてきました。
18年前から本格的にコーヒー栽培に取り組み、短期間で地域を代表する生産者の一人となりました。
彼の農園「ラ・パルタ」は、この地域に多く自生するアボカドの木にちなんで名付けられています。
標高1,949mの農園ではパチェ種を栽培し、長年育ったアボカドの木々の木陰のもとでコーヒーが育てられています。
この木陰は土地本来の個性と風味を守る大切な役割を果たしています。

セグンド氏はコーヒー栽培によって8人の子どものうち5人を学校へ通わせることができ、残る3人は父の後を継いでコーヒー栽培に携わっています。
彼の歩みは、努力と伝統、そして生涯にわたる農業への献身を象徴しています。
ケロコトのコーヒー栽培の歴史 かつてケロコトはコーヒーではなく牧畜が盛んな地域でした。
平均標高約2,300mという冷涼な気候と広大な牧草地に恵まれていたためです。
1990年代になると、多くの住民が収穫期になるたびにハエンやサン・イグナシオへ出稼ぎに向かい、コーヒー収穫の仕事に従事するようになりました。
そして2000年代初頭、彼らはコーヒーの種子を持ち帰り、この高地で試験栽培を開始しました。
その結果、コーヒーの木はこの土地に見事に適応し、栽培は大成功を収めました。
自然と共生する栽培 この地域の生産者は自然への深い敬意を持ち、在来植物とコーヒーが共存する生態系を守りながら栽培を行っています。
その代表例が、日陰樹として利用される在来種「キナノキ」です。
キナノキはペルー国章にも描かれる歴史的に重要な樹木で、樹皮は古くから伝統的な飲み物に利用され、後にはマラリア治療薬であるキニーネの主要な原
料となりました。
一時は伐採や外来種の影響で絶滅の危機に瀕しましたが、チリバンバ地区は現在でもこの木が数多く残る数少ない場所の一つです。
キナノキはコーヒーに理想的な木陰を提供するとともに、豊かな有機物を土壌へ供給しています。
物流と生産体制 物流は比較的整っており、各農園から集荷場までは20分から3時間程度です。
多くの生産者は未舗装道路を共同トラックで利用し、アクセスが難しい地域ではラバを使ってパーチメントコーヒーを運搬しています。
通信環境も重要な役割を果たしており、住民の約70%は携帯電話を利用できます。電波が届かない地域では、ラジオ放送や近隣住民を通じて集荷スケジュ
ールが伝えられています。
収穫・精製へのこだわり この地域ではコーヒー栽培の歴史はまだ浅いものの、生産者たちは収穫や精製について非常に高い知識と技術を持っています。
収穫作業は「アイニ(Ayni)」と呼ばれる、インカ時代から続く家族や近隣同士が助け合う伝統的な相互扶助の仕組みによって行われています。
精製工程も丁寧で、収穫後はプラスチック袋で72時間発酵させ、その後パティオや高床式乾燥棚で10~20日かけてじっくり乾燥させています。
この地域のコーヒーは非常に高品質である一方、若者が教育を求めて都市部へ移住してしまうという課題を抱えています。
ケロコトをペルーで最も将来性のある新興コーヒー産地の一つだと考えています。
適正価格での継続的な取引を通じて地域経済を支え、次世代が地元に残り、コーヒーづくりを続けられる環境づくりを目指しています。
私たちの取り組みは、生産者への長期的な支援、この貴重な生態系の保全、そして唯一無二のペルーコーヒーを世界へ届けるという使命に基づいていま
す。